太陽光発電は導入後の運用コストが低く、比較的手間がかからないエネルギー源として知られていますが、全く管理がいらないというわけではありません。
メンテナンスを怠ると、発電量が落ちたり、機器の寿命が縮まったりするだけでなく、法律や契約上のトラブルに発展することもあります。
発電設備の規模や設置環境によっては、法律で保守点検が義務付けられていることもあります。
部品の修理や交換にはさらに費用がかかるため、事前に把握しておくことが重要です。
この記事では、太陽光発電にメンテナンスが必要とされる理由から、義務の有無、点検の具体的な内容、費用相場まで詳しく解説します。

すでに導入している方も、これから設置を検討している方も、長期的に安心して活用するための参考にしてください。
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太陽光発電のメンテナンスって必要?

太陽光発電は、「設置すれば発電し続ける」と思われることが多いですが、長期間にわたり安全かつ効率的に運用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
発電設備は屋外に設置されているため、天候や自然環境の影響を受けやすく、知らないうちに劣化や不具合が生じている場合があります。
「メンテナンス不要」は本当?
「太陽光発電はメンテナンスが不要」という情報を見ることがありますが、実際には一定の点検や管理が必要です。
太陽光パネルやパワーコンディショナーは長期間使用されることを前提としていますが、汚れの付着や部品の経年劣化は避けられません。
設備の状態を把握し、性能を保つためにも、定期的な確認が必要です。
- パネル表面の汚れや落ち葉の付着
- 接続部分のゆるみや腐食
- パワーコンディショナーの内部劣化
- 強風や雷などによる損傷
機器内部のトラブルは、発電量の低下や重大な事故の原因になることがあります。
確認項目 | 点検の目的 |
---|---|
太陽光パネルの汚れ・割れ | 発電効率の低下を防ぐ |
パワーコンディショナーの動作 | 電力変換のトラブルを早期発見 |
配線や接続部分の状態 | 感電・発火などの事故を予防 |
放置しているとどうなる?
メンテナンスを行わずに太陽光発電システムを放置すると、発電量の低下だけでなく、機器の故障や火災といった重大な事故に発展する可能性もあります。
- 発電量の低下による収益減
- パワーコンディショナーの故障
- ホットスポット現象による発火
- 法令違反による罰則や認定取消
また、長期間気づかずに出力が低下していた場合、売電収入が大きく減少するだけでなく、修理費用が高額になることもあります。
メンテナンスが必要な理由

太陽光発電で安定した発電と設備の長寿命化を実現するには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
ここでは、太陽光発電にメンテナンスが必要とされる理由について解説します。
発電効率を保つため
太陽光パネルは、設置当初が最も高い発電性能を発揮しますが、年月とともに徐々に劣化が進みます。
これに加え、パネル表面に蓄積する砂ぼこり、花粉、鳥のフン、落ち葉などによって光の透過率が下がると、変換効率が大きく損なわれてしまいます。
定期的な清掃や状態確認を行うことで、発電性能の維持につながり、長期的な収益性も高まります。
- パネル表面の汚れ
- 落ち葉の付着
- 黄砂や排気ガスによるくすみ
- 雪や霜による遮光
上記のような要因は目視でもある程度確認できますが、発電量データやIR(赤外線)測定を組み合わせることで、異常箇所の特定や効率低下の兆候を数値として把握することが可能です。
トラブルや事故のリスクを減らすため
太陽光発電設備は電気を扱う構造であるため、定期的な点検を怠ると事故につながる恐れがあります。
特に、強風や紫外線、雨水による部材の劣化は、配線の絶縁不良や端子の腐食、ネジのゆるみなどを引き起こす原因になります。
以下のような箇所は、劣化や破損のリスクが高く、特に注意が必要とされています。
- 接続箱やブレーカーの内部
- パネル裏側の配線
- 架台のボルト部分
- パワーコンディショナーの冷却ファン
設備によっては遠隔監視システムを導入することで、発電状態や電圧の異常を自動検知できるケースもありますが、現地での目視・電気測定と併用することが、事故防止には効果的です。
法的な点検義務がある場合もある
出力10kW以上の太陽光発電設備は、「改正FIT法」や「電気事業法」により、定期的な点検・保守が義務付けられています。
これに違反すると、再生可能エネルギーの設備認定が取り消される可能性もあります。
住宅用の小規模設備であっても、自治体の補助金を利用した場合には、一定期間の保守義務や点検記録の提出が求められることがあります。
対象区分 | 関連法規・条件 | 義務内容 |
---|---|---|
住宅用(10kW未満) | 補助金制度により異なる | 任意 |
低圧(10kW〜49.9kW) | 改正FIT法の運用ガイドライン | 点検実施・記録の保存が推奨 |
高圧(50kW以上) | 電気事業法 | 電気主任技術者による年1回以上の点検が義務 |
法的な要件を満たしていない場合、売電の継続ができなくなるリスクや、事故発生時に損害賠償責任が問われるおそれもあります。
定期点検を実施した場合は、記録を残しておくようにしましょう。
太陽光発電設備のメンテナンスにかかる費用

太陽光発電システムの費用は点検頻度や設置状況、機器の状態によって異なりますが、目安となる価格帯を把握しておくことで、計画的なメンテナンスが可能になります。
以下では、点検費用・修理費用・交換費用をそれぞれ詳しく解説します。
定期点検にかかる費用の目安
太陽光発電の定期点検は、頻度や内容によって費用は異なります。
主な点検費用の目安は、以下のとおりです。
点検内容 | 費用の目安 | 備考 |
---|---|---|
定期点検(4年に1回) | 約20,000円 | 資源エネルギー庁が示す推奨頻度と費用 |
定期点検(年1回) | 約40,000円 | 点検内容がより詳細で、報告書の作成を含む |
日常点検(自己実施) | 0円 | 目視による確認。異常発見時は業者に相談 |
年1回の点検は、保証継続条件になっている場合もあります。
周辺機器の修理・交換にかかる費用の目安
太陽光発電システムは、パネル本体だけでなく、パワーコンディショナーや接続箱などの周辺機器によって成り立っています。
これらの機器にも寿命があり、経年によって交換が必要になるケースがあります。
代表的な部品の修理・交換費用の目安は、以下のとおりです。
部品名 | 修理費用の目安 | 交換費用の目安 | 耐用年数の目安 |
---|---|---|---|
太陽光パネル(1枚) | 約10〜15万円 | 約10〜15万円 | 約25〜30年 |
パワーコンディショナー | 約15〜40万円 | 約20〜50万円 | 約10〜15年 |
接続箱 | 約5〜15万円 | 約8〜20万円 | 約10〜20年 |
モニター(発電量表示装置) | 約3万円 | 約4〜8万円 | 約10年 |
架台 | 状況により異なる | 数万円〜数十万円 | 約20〜30年 |
接続箱やモニターなどの部品も、内部の基盤劣化や通信障害が起こる場合があります。
その他かかる可能性がある費用
通常の定期点検や交換のほかに、以下のような費用が発生する場合もあります。
災害対応や保証外修理については、あらかじめ費用感を把握しておくと安心です。
- 緊急駆けつけ対応費
- 台風・落雷後の臨時点検費
- 保証延長の追加契約費
- 保険対象外の修理費
自然災害による被害は保険で対応できる場合もありますが、契約内容によっては実費負担が必要になるケースもあります。
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メンテナンスの内容と頻度
メンテナンスには、所有者自身が行う日常点検と、専門業者による定期点検の2つがあり、それぞれ目的や点検内容が異なります。
ここでは、太陽光発電システムの健全な運用に必要なメンテナンスの種類と、それぞれに適した実施頻度を紹介します。
自分で行う日常的な点検
日常的な点検は、外観を中心に設備の異常を早期に発見するための基本的なチェックです。
屋外に設置された太陽光パネルや周辺機器は、風雨や自然環境の影響を受けやすいため、簡単な確認を継続することで重大なトラブルの回避につながります。
- 太陽光パネルの汚れの有無
- 落ち葉や雪などの堆積状況
- パネルの割れやひびの有無
- 架台や固定金具のゆるみ
- 配線や接続部の損傷
- パワーコンディショナーの異音や異臭
- 発電量モニターの表示異常
落ち葉が多い秋や、積雪後などはパネル表面の遮光による発電低下の原因となるため、こまめに確認した方が良いでしょう。
異常が見つかった場合は、作業を自己判断で進めず、信頼できる専門業者に相談することが大切です。
業者に依頼する定期点検
定期点検は、発電性能や電気系統の安全性を確保するために、専門業者が行う詳細な点検です。
使用年数の経過に伴う経年劣化を把握し、事故の予防や補償対象の維持にもつながります。
点検では、専用機器を用いて測定を行い、見た目だけでは判断できない不具合の有無を確認します。
点検項目 | 内容 | 頻度 |
---|---|---|
絶縁抵抗・開放電圧の測定 | 電気的な異常や漏電の有無を確認 | 4年に1回以上 |
パワーコンディショナーの診断 | 変換効率や動作状態のチェック | 4年に1回以上 |
接続部・配線の点検 | 端子のゆるみ・腐食・断線の確認 | 4年に1回以上 |
架台・取付金具の状態確認 | 固定状態やサビ・劣化のチェック | 4年に1回以上 |
発電量データの分析 | 過去データと比較し効率低下を確認 | 必要に応じて |
定期点検の頻度は、メーカーの推奨や設置環境によって異なる場合があります。
自分でできること・できないこと

太陽光発電システムのメンテナンスにおいては、所有者が自ら行える作業と、専門業者に依頼すべき作業があります。
安全性とシステムの性能を維持するために、それぞれの作業内容を正しく理解し、適切に対応することが重要です。
点検や掃除は自分でできる?
太陽光発電システムの所有者が自ら行える作業には、以下のようなものがあります。
- 地上からの目視によるパネルの汚れや破損の確認
- 発電量のモニタリングデータの確認
- 周囲の雑草や障害物の除去
これらの作業は、特別な技術や資格を必要とせず、安全に行うことができます。
感電や転落など、危険がある作業には注意
以下のような作業は、感電や転落などの重大な事故につながる可能性があるため、専門業者に依頼するようにしましょう。
- 屋根上でのパネルの清掃や点検作業
- 配線や接続部の確認および修理
- パワーコンディショナーや接続箱の内部点検
これらの作業は、高所作業や電気設備の取り扱いを伴うため、専門的な知識と経験が必要です。
無理に自分で行うと、感電や転落などの危険があります。
業者に依頼する場合の選び方

太陽光発電のメンテナンスを安心して任せるためには、信頼できる業者選びが重要です。
点検の質や対応の丁寧さはもちろん、アフターサポートの内容まで含めて判断することが、長期的に設備を維持していくうえで大切です。
ここでは、業者選定のポイントと、設置段階で意識しておきたい点について解説します。
信頼できる業者を選ぶポイント
太陽光発電の施工業者は数多く存在していますが、業者選びの際には「設置技術」だけでなく「メンテナンス体制」にも注目する必要があります。
以下のようなポイントに着目することで、安心して任せられる業者を見つけやすくなります。
- 点検内容や報告の形式が明確である
- 施工実績や取り扱いメーカーが豊富である
- アフターサービスの範囲(定期点検、修理対応など)が整っている
- 専門資格を持つ技術者が在籍している
- 設置後の問い合わせ対応が丁寧である
設置のみで契約が終了する業者ではなく、長期的にメンテナンスまで任せられる体制が整っているかどうかを、契約前に必ず確認することが重要です。
一括見積サービスで効率よく比較できる!
複数の太陽光発電業者から設置プランや費用を比較したい場合には、一括見積もりサービスの活用が便利です。
施工内容や導入コストを短時間で比較できるだけでなく、信頼性のある業者に絞って検討できる点もメリットです。
- 対応エリアや実績を比較できる
- 導入費用やパネルの種類が分かる
- 各社の保証年数やサービス体制を確認できる
ただし、一括見積もりサービスは「点検や修理を行う業者を探すためのサービス」ではなく、あくまでも「太陽光発電を設置する業者」を比較・選定するためのものです。
そのため設置を検討する際には、メンテナンスやアフターサービスが含まれているかどうかを事前に確認することが大切です。
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太陽光発電メンテナンスに関するよくある質問

ここでは、太陽光発電システムの所有者が抱きやすい疑問をQ&A形式でわかりやすくまとめました。
設置を検討中の方も、すでに利用している方も、ぜひ参考にしてください。
- Qメンテナンス費用は火災保険や動産保険でカバーされる?
- A
火災や落雷などの自然災害による被害については、加入している火災保険や動産総合保険で補償されることがあります。
ただし、経年劣化による部品の故障や定期点検費用は保険対象外となることが多いため、契約内容をよく確認しておきましょう。
- Qメンテナンス契約を結んでいないと、メーカー保証は受けられない?
- A
多くのメーカーでは、保証期間中に「定期点検の記録」が残っていない場合、保証の対象外とされることがあります。
特にパワーコンディショナーなどは点検義務が明記されていることが多いため、保証書の条件を必ず確認しましょう。
- Qメンテナンスを怠ると固定価格買取制度(FIT)の認定が取り消される?
- A
出力10kW以上の設備では、「改正FIT法」に基づいて点検や保守の義務があります。
これを怠ると、最悪の場合は認定が取り消され、売電契約が終了する可能性もあります。
設置規模に応じた法的義務を事前に確認しておきましょう。
- Qメンテナンスは全て業者に任せた方がよい?
- A
全てを業者に任せる必要はありません。
パネルの汚れや落ち葉の確認、モニターのチェックなど、所有者自身が対応できる作業も多くあります。
- Q点検記録はどのように残しておけばいい?
- A
点検報告書や作業完了報告書は、PDFまたは紙で保管しておくと安心です。
補助金を利用して設置した場合や、保証請求時には提出が求められることがあります。
点検時に業者から正式な記録書をもらうようにしましょう。
太陽光発電のメンテナンスまとめ

太陽光発電は、導入時の判断だけでなく、稼働後の対応によってその価値が大きく変わる設備です。
設置後に放置してしまえば、本来得られるはずだった発電量や売電収入が失われてしまう恐れもあります。
メンテナンスにかかる費用の目安は、以下のとおりです。
部品名 | 修理費用の目安 | 交換費用の目安 | 耐用年数の目安 |
---|---|---|---|
太陽光パネル(1枚) | 約10〜15万円 | 約10〜15万円 | 約25〜30年 |
パワーコンディショナー | 約15〜40万円 | 約20〜50万円 | 約10〜15年 |
接続箱 | 約5〜15万円 | 約8〜20万円 | 約10〜20年 |
モニター(発電量表示装置) | 約3万円 | 約4〜8万円 | 約10年 |
架台 | 状況により異なる | 数万円〜数十万円 | 約20〜30年 |
費用面では、日常点検は無料でできる一方、定期点検には2万〜4万円程度のコストがかかるケースが多く、部品交換には数十万円の負担が発生することもあります。
設備の状態を正しく理解し、必要なタイミングで適切な対応をすることで、長く安心して太陽光発電を活用できます。

ご自身でてきるメンテナンスも多くあるので、太陽光発電設備を長く使い続けるために、日頃の点検も欠かさず行いましょう。
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