冬の電気代はなぜ高い？
地域や家族の人数によって、どれくらい差が出る？
みんな、どんな方法で上手に節約してる？
電気代の高騰が続き、冬の光熱費が家計を圧迫しやすくなっています。暖房や給湯の使用が増え、毎年のように請求額が上がってしまうと感じる人も多いはず。
しかし、電気の使い方や住まいの対策を少し見直すだけで、電気代はしっかり抑えられます。今日からできる節約術を実践すれば、快適さを維持しながら負担の軽減が可能です。
この記事では、冬の電気代の平均や暖房器具の電気代の比較、おすすめ節約方法16選をわかりやすく解説します。
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冬の電気代の平均はどのくらい？
冬の電気代は、夏よりも高くなる傾向があります。世帯人数や住んでいる地域によっても違うため、まずはご自宅の電気代が平均と比べてどうかを知ることが大切です。
【世帯人数別】夏と冬の電気代の比較
2025年における夏（7～9月）と冬（1～3月）の電気代の平均月額を、世帯人数別に整理しました。
| 世帯人数 | 夏（7～9月）の平均電気代 | 冬（1～3月）の平均電気代 |
| 1人 | 約6,822円 | 約9,295円 |
| 2人 | 約11,403円 | 約14,727円 |
| 3人 | 約12,884円 | 約17,068円 |
| 4人 | 約13,531円 | 約16,384円 |
| 5人 | 約14,436円 | 約19,245円 |
世帯人数にかかわらず、夏より冬の電気代が高いことがわかります。
【地域別】冬の電気代の平均
以下の表は、2025年における冬（1～3月）の電気代の地域別平均をまとめたものです。2人以上世帯が対象となっています。
| 地域 | 冬（1～3月）の平均電気代 |
| 北海道 | 約16,727円 |
| 東北 | 約22,881円 |
| 関東 | 約14,607円 |
| 北陸 | 約23,215円 |
| 東海 | 約15,530円 |
| 近畿 | 約14,654円 |
| 中国 | 約19,667円 |
| 四国 | 約18,553円 |
| 九州 | 約14,293円 |
| 沖縄 | 約12,851円 |
| 全国平均 | 約15,998円 |
冬の電気代がとくに高い地域は北陸・東北地方で、中国・四国地方も高水準です。
夏より冬の電気代が高いのはなぜ？
冬の電気代が夏より高くなるのは、多くのご家庭で共通する悩みです。電気代を抑えるためには、なぜ冬に電力消費が増えるのかを理解する必要があります。
ここでは、冬の電気代が高くなる主な理由を詳しく解説します。
エアコン以外の暖房器具を使うから
次の表は、一般家庭の電気使用割合を家電や用途ごとにわけたものです。夏と冬で比較しています。
| 家電・用途 | 夏 | 冬 |
| 冷暖房 | 38.3%（エアコン） | 32.7% （エアコン 17.0%） （電気ストーブ 3.8%） （電気カーペット 1.8%） （こたつ 2.1%） （その他暖房 8.0%） |
| 冷蔵庫 | 12.0% | 14.9% |
| 照明 | 14.9% | 9.2% |
| 給湯 | 3.1% | 12.6% |
| 炊事・洗濯 | 7.8% | 10.0% |
| テレビ・映像機器 | 8.2% | 4.2% |
| パソコン・通信機器 | 0.7% | 0.9% |
| 待機電力 | 4.0% | 5.5% |
| その他 | 8.8% | 9.4% |
夏は冷房のほとんどをエアコンが占めているのに対し、冬は暖房でエアコン以外の暖房器具もよく使われています。
外気温と室温の差が大きいから
冬のほうが夏より室温と外気温の差が大きいことも、冬の電気代が高くなる理由に関係しています。
- 冬：外気温6℃、設定温度20℃（温度差14℃）
- 夏：外気温35℃、設定温度28℃（温度差7℃）
エアコン使用時に室温が設定温度になるまでの時間は、温度差が大きい冬のほうが長くなります。消費電力が上がる時間が夏より長くなるため、暖房のほうが冷房より電気代が上がりやすいのです。
日照時間が短いから
冬は夏より日照時間が短いため、自然光や太陽熱による室温の上昇効果を期待しにくいです。曇りや雪の日も多く、太陽光が差し込む時間が少なくなります。
日照時間が短い地域や曇天・降雪が多い地域など、太陽による暖房効果が冬に小さくなる地域では、とくに電気代の負担感が大きくなるでしょう。
在宅時間が長くなるから
冬は外出を控えがちになり、家で過ごす時間が増えるため、暖房器具や照明を使う機会が多くなります。料理や家事の時間が長くなると、電化製品の使用時間も長くなるでしょう。
給湯にかかる電力が増えるから
冬は水温が低くなるため、給湯に多くのエネルギーが必要です。エコキュートや電気温水器など、家庭内の給湯設備が使う電力は、冬に増加する傾向があります。
お風呂を沸かす時間が長くなったり、シャワーの温度設定が高くなったりと、寒さによって必要なお湯の量や温度が上がることが影響します。また、手洗いや食器洗いの際にも高い温度のお湯を使う機会が増え、給湯設備の稼働頻度が高くなります。
暖房器具の電気代を比較してみよう
暖房器具にはさまざまな種類があり、消費電力がそれぞれ異なります。主な暖房器具の電気代の目安を把握し、使い分けの参考にしましょう。
暖房器具の電気代の計算式
家電の電気代は、次の計算式で求められます。
消費電力（kW） × 使用時間（時間） × 料金単価（円/kWh）
- 消費電力：家電が動く際に使う電力
- 使用時間：実際にその家電を使った時間
- 料金単価：契約している電力会社の従量料金の単価
消費電力は、家電ごとの取扱説明書やカタログに記載されています。
主な暖房器具の電気代の目安
一般家庭でよく使われている暖房器具の電気代を、以下の表にまとめました。
| 暖房器具 | 消費電力の目安 | 電気代の目安（1時間） |
| エアコン暖房 | 300～900W | 約9～28円 |
| オイルヒーター | 800～1,300W | 約25～40円 |
| セラミックファンヒーター | 900～1,200W | 約28～37円 |
| カーボンヒーター | 500～1,000W | 約16～31円 |
| ハロゲンヒーター | 400～800W | 約12～25円 |
| パネルヒーター | 200～600W | 約6～19円 |
| ホットカーペット | 200～800W | 約6～25円 |
| こたつ | 200～500W | 約6～16円 |
エアコンは設定温度に達すると消費電力が下がるため、それほど電気代が上がる家電ではありません。暖房のメインとして使いやすい家電です。
一方、ヒーター系は比較的消費電力が高く、強運転で長時間使うと電気代が高くなる原因になります。暖房器具ごとの特徴に合わせて、上手に使い分けることが重要です。
【エアコン編】冬の電気代を節約する方法
エアコン暖房にかかる電気代は、冬の電気代に占める割合が比較的大きいため、使い方を見直すことで節約効果が高まります。エアコンの主な節約方法を見ていきましょう。
フィルター清掃で暖房効率を上げる
エアコンのフィルターにホコリがたまると、吸い込む空気量が減ってしまい、暖房効率が落ちます。効率が悪くなれば設定温度まで上がりにくくなり、ムダな電力が消費され電気代が増えてしまいます。
エアコンのフィルター掃除の適切な頻度は2週間に1回です。取り外しての水洗いが理想ですが、掃除機でホコリを吸い取るだけでも効果を期待できます。
設定温度を見直す
環境省が推奨する「ウォームビズ」では、暖房使用時の適切な室温を20℃としています。設定温度ではなく室温20℃です。（出典：ウォームビズとは）
寒い日は設定温度を上げてしまいがちですが、室温20℃を目安に設定温度を調整し、それでも寒い場合は重ね着やひざ掛けなどで体感温度を上げるようにしましょう。
風向きを下向きにする
暖かい空気は上に集まる性質があります。エアコンの風向きを水平にすると、暖かい空気が下まで降りてきにくくなり、床付近が寒くなりがちです。
風向きを下向きに設定すれば、暖かい空気が床付近に行き渡り、体感温度が上がります。設定温度をムダに上げずに済むため、電気代の節約につながるでしょう。
サーキュレーターで空気を循環させる
暖かい空気が上に集まるのを防ぐためには、サーキュレーターを活用するのもおすすめです。直線的な強い風により部屋の空気が循環され、室内の温度ムラを減らせるため、エアコンの設定温度を下げられます。
自動運転機能を活用する
エアコンの自動運転機能とは、部屋の状況に合わせて最適な風量にする機能です。自動運転機能をオンにしておくと、設定温度に達するまでは強風で運転し、設定温度に達したあとは微風や弱風になります。
エアコンの消費電力は、設定温度に達するまでの間がもっとも大きくなります。自動運転機能を活用し、強風運転で早く設定温度に達することで、消費電力の大きい時間が短縮されて電気代の節約につながるのです。
室外機まわりの風通しを良くする
エアコンの室外機は、屋外と室内の熱を交換する重要な役割を担っています。室外機が吸い込む空気の流れが悪いと、エアコンの性能が落ちて電力消費が大きくなるため、周囲を片づけて風通しを良くしておくことが重要です。
省エネ性能が高いエアコンに買い替える
エアコンの省エネ性能は年々アップしており、古いエアコンから最新モデルに買い替えるだけで、電気代が安くなる可能性があります。
エアコンを比較する際は、製品ごとの省エネ基準達成率とAPF（通年エネルギー消費効率）をチェックするとよいでしょう。
- 省エネ基準達成率：省エネ性能が目標基準値に対してどれだけ達成しているかを示す指標。達成率が100%を超えている製品ほど省エネ。
- APF（通年エネルギー消費効率）：1年を通じた省エネ性能を表す指標。数値が大きいほど省エネ性能が高い。
【住まい編】冬の電気代を節約する方法
住まいの環境を整えることでも、冬の電気代の節約を図れます。すぐにできる3つの節約方法を整理しました。
窓の断熱対策をする
断熱性の低い窓をそのままにしていると、暖房を強めても部屋が暖まりにくく、電気代の増加につながります。暖かさを保つためには、窓まわりの対策も大切です。
- 断熱フィルムをガラス面に貼り、熱が外へ逃げるのを防ぐ
- すき間風を遮断するため、窓枠にすき間テープを貼る
- 断熱性のあるカーテンライナーを追加し、冷気の侵入を抑える
- 緩衝材（プチプチ）を活用し、冬だけ簡易的に断熱する
- カーテンボックスを設置し、上部からの冷たい空気を抑える
- アルミ部分に断熱テープを貼り、冷気の伝わりを軽減
- 丈の長いカーテンに替え、床とのすき間をなくす
- 内窓（簡易サッシ）を取り付けて、断熱性能を高める
暖房器具を使い分ける
暖房器具にはそれぞれ得意な使い方があります。目的に合わせて使い分けることで、快適さと節電効果を両立できます。
| 目的・シーン | 暖房器具 | 特徴・使い方のポイント |
| 部屋全体を暖めたい | エアコン暖房 | 省エネ性が高く、広い部屋を効率よく暖められる。 |
| オイルヒーター | 均一に暖まり、乾燥しにくい。立ち上がりは遅い。 | |
| 狭い場所を素早く暖めたい | セラミックファンヒーター | 温風により短時間で暖められる。洗面所などに便利。 |
| ピンポイントで暖めたい | カーボンヒーター | 足元やデスク周りを効率的に暖められる。 |
| ハロゲンヒーター | 即暖性が高いが広い範囲には不向き。 | |
| 足元をじんわり暖めたい | パネルヒーター | 静かで優しい暖かさ。空気が乾燥しにくい。 |
| ホットカーペット | 部分暖房として使いやすい。 | |
| 体の芯から温まりたい | こたつ | 電気代が安く、足元の冷え対策に最適。 |
加湿器を使って体感温度を高める
冬は空気が乾燥しやすく、湿度が下がると肌の表面から熱が奪われやすくなるため、同じ室温でも寒く感じてしまいます。
体感温度を高めるためには、湿度を適度に保つことが重要です。加湿器で室内の湿度を40～60%程度に調整すると、暖房の設定温度を上げなくても快適に過ごしやすくなります。
温風を出すエアコン暖房は空気を乾燥させやすいため、エアコン＋加湿器は効果が出やすい組み合わせです。
【オール電化編】冬の電気代を節約する方法
オール電化住宅では、電気のみで生活設備をまかなうため、冬は電気代がとくに高くなりがちです。給湯や暖房の使い方を工夫することで、負担を抑えられます。
給湯の節電を意識する
冬のオール電化住宅で、とくに電気代が増える原因になるのが給湯です。寒さで水温が下がる分、エコキュートや電気温水器がより多くの電力を必要とするようになります。
- シャワーの時間を短くし、お湯の使いすぎを防ぐ
- お湯の温度設定を少し低めにする
- 追いだきの回数を必要最小限に減らす
- 家族が続けて入って効率よく利用する
- 風呂ふたで保温し、お湯の冷えを防ぐ
- 節水シャワーヘッドで湯量を抑えて使う
床暖房は短時間使用＋低温設定にする
床暖房は足元からじんわり暖められる快適な設備ですが、広い面積を温めるため電力消費が大きくなる傾向があります。効率よく使うためには、必要な時間だけ短時間で運転し、温度設定も控えめにすることが重要です。
部屋全体を暖めたいときはエアコンを活用し、床暖房を補助的に利用すれば、電気代の上昇を防ぎやすくなります。
食洗器や洗濯乾燥は夜間に稼働させる
一般的に、オール電化向けの電気料金プランは、夜間の料金が割安です。夜間の時間帯に家電を使うようにすれば、電気代を抑えられます。
食洗器や洗濯乾燥機は、お湯を使ったりヒーターを動かしたりするため、電力消費が大きくなりがちです。これらの家電を夜間に使うことで、電気代の節約効果が高まるでしょう。
【料金見直し編】冬の電気代を節約する方法
電力会社や料金プランの切り替えは、ムダな電気代を減らす効果的な方法です。太陽光発電や蓄電池の導入効果と併せて確認しましょう。
電力会社や料金プランを切り替える
2016年の電力小売全面自由化によって、誰でも好きな電力会社を選べる時代になりました。新電力と呼ばれる事業者が増えたことで、電力会社の選択肢も大幅に増えています。
料金体系は電力会社ごとに異なるため、今より割安なプランに変更するだけでも、冬の電気代を抑えられる可能性があります。電気料金プランを比較する際は、自分たちの生活スタイルに合うプランを選ぶことが大切です。
- 現住所で利用できるか確認する
- 基本料金・従量料金など料金体系を比較する
- 電気の使用量や時間帯に合ったプランか見極める
- 解約金や最低契約期間などの条件を確認する
- 燃料費調整額や再エネ賦課金も含めて総額で判断する
- ポイント還元や特典があるかチェックする
- 口コミやサポート体制の評判も参考にする
太陽光発電や蓄電池の導入も検討する
電気代を少しでも減らしたいと考えるなら、太陽光発電の導入も選択肢に入れてみましょう。設置には費用がかかりますが、自宅で発電した電気を使えば、電力会社から購入する電力量を抑えられます。
さらに蓄電池も設置しておけば、夜間や発電量が減る日にも自家発電した電気を活用できるため、より柔軟に電気を使えるようになります。電気代がまったくかからない生活も夢ではありません。
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冬の電気代の節約まとめ
暖房や給湯の使用が増える冬は、電気代が高くなりやすい季節です。しかし、エアコンをはじめとした暖房器具の使い方を工夫し、住まいの断熱性を高めれば、快適さを保ちながら電気代を抑えられます。
また、世帯人数や地域によって電気代は変わるため、ご家庭の使用状況を把握して見直すことも大切です。
- 冬は暖房・給湯・在宅時間の増加で電気代が上がりやすい
- 世帯人数や地域差により電気代の負担感が大きく変わる
- 暖房器具の特徴を理解し、用途に合わせて使い分けるのが効果的
- エアコンは20℃設定・フィルター清掃・自動運転が節約の基本
- 窓の断熱対策やサーキュレーターで暖かさを保ちやすい室内環境にできる
- オール電化住宅は給湯・床暖房などの使い方の見直しが重要
電気代の節約を図るなら、太陽光発電や蓄電池の導入を検討するのもおすすめです。
太陽光発電による電力をそのまま使用することで、電力会社から購入する電力量が減り、電気代を直接的に削減できます。電気の使用量が多いほど、自家消費の効果がより高まるでしょう。
また、自家発電の電気が余った分を蓄電池にためて夜間に活用すれば、昼夜を問わず太陽光でつくった電気を有効活用することが可能です。自給自足に近い形で電気を使うことで、毎月の電気代を大幅に抑えられる可能性があります。
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