電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の普及が進む中、「V2H」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
太陽光発電と組み合わせることで電気代を削減でき、災害時の非常用電源と活用できます。
この記事では、V2Hの基本的な仕組みから、家庭用蓄電池との違い、導入メリット、費用相場、補助金情報、導入手順までわかりやすく解説します。

V2Hについて詳しく知りたい方や導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
今すぐ、
かんたん無料一括見積もりを
しましょう!
V2Hとは?

V2Hとは、電気自動車やプラグインハイブリット車と連動させて大容量バッテリーを住宅で活用するためのシステムのことです。
太陽光発電導入後の卒FITを迎えた方や防災対策、備えとして注目されています。
V2Hは容量が大きく、定格出力3000~6000wあるため、自宅の電力として使用するときは一度に多くの電化製品を使えます。
V2H(Vehicle to Home)の仕組み

V2Hは、EVやPHEVに搭載されているバッテリーに貯めた電気を、家庭に供給する仕組みです。
通常、電気自動車は充電するだけの設備(V2Lなど)が一般的ですが、V2Hでは家庭の分電盤に直接接続し、家庭内全体に電力供給できます。
太陽光発電システムがある場合は、昼間に発電した電力をEVに充電し、夜間は家庭で使用するなど、効率的なエネルギー運用もできます。
家庭用蓄電池との違い
V2Hと家庭用蓄電池はどちらも「電気をためて使う」仕組みですが、いくつか違いがあります。
V2H | 家庭用蓄電池 | |
---|---|---|
役割 | 電気自動車のバッテリーを住宅で活用 | 住宅用に独立した専用バッテリーを設置 |
蓄電容量 | EVの車種により異なる(30kWh以上も可) | 4kWh〜12kWh程度が一般的 |
設置場所 | 車両(EV・PHEV) | 住宅外壁や屋内スペース |
機能 | 車両走行と家庭用電力の両方に使用 | 家庭用電力専用 |
初期費用 | V2H機器設置+EV購入費が必要 | 蓄電池本体と設置工事費が必要 |
V2Hは「電気自動車を持っていることが前提」となりますが、大容量のバッテリーを有効活用できる点が大きなメリットです。
一方、家庭用蓄電池は住宅専用に設計されており、電気自動車がない家庭でも導入できる点が特徴です。
V2Hを導入するメリット

V2H(Vehicle to Home)は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のバッテリーを活用して家庭に電力を供給できるシステムです。
ここでは、V2Hを導入することで得られるメリットを解説します。
非常用・災害時の備えになる
日本は災害が多く、地震や台風などの自然災害による停電が全国で発生しており、非常時の電力確保は大きな課題となっています。
冷蔵庫や照明、スマートフォンの充電など、最低限の電力を確保できるので、災害時の安心感が増すでしょう。
電気代の節約
V2Hの系統連系タイプは、発電した電力を家庭だけでなく、EVにも効率よく充電できます。
晴れた日に発電した余剰電力を昼間にEVに蓄電しておき、夜間に家庭で利用すれば、夜間の電力使用量を抑えられるメリットもあります。
充電時間が短い
V2Hを経由してEVやPHEVに充電する場合、通常の家庭用200Vコンセントを使った場合に比べて、充電時間を約半分に短縮できます。
充電スピードが速くなることで、外出前に慌てて充電する必要がなくなります。
太陽光発電との組み合わせで自家消費率アップ
V2Hを太陽光発電システムと組み合わせて利用することで、自家消費率を大幅に高められます。
従来の売電中心のスタイルから、自家消費を中心としたエネルギー運用に切り替えることで、売電価格の低下リスクに左右されにくい運用が可能になります。
V2Hの導入費用はどのくらいかかる?

V2Hを導入する際は、V2H本体費用と設置工事の費用がかかります。
ここでは費用相場と利用できる補助金、費用を抑えるためのポイントについて解説します。
本体費用
V2H本体の費用相場は、選ぶ機能タイプによって異なります。
タイプ | 費用相場(税込・本体価格) |
---|---|
太陽光・蓄電池連系タイプ | 約100万円〜160万円 |
単機能タイプ | 約70万円〜120万円 |
太陽光・蓄電池連系タイプと単機能タイプの2種類があり、一般的に「太陽光・蓄電池連系タイプ」の方が高価です。
- 太陽光・蓄電池連系タイプ
太陽光発電・家庭用蓄電池と連携できる
停電時にも太陽光や蓄電池と組み合わせて家全体へ給電できる高機能モデル - 単機能タイプ
EVと家庭の双方向給電に特化している
太陽光発電や蓄電池との連携機能は持たないシンプルなモデル
またV2Hには、全負荷型と特定負荷型があり、全負荷型の方が価格は高めです。
- 全負荷型
停電時も含め、家全体に電気を供給できるタイプ
エアコンやIH調理器など、消費電力が大きい機器も使える - 特定負荷型
あらかじめ指定した特定の部屋やコンセントのみ電気を供給するタイプ
コストを抑えやすい
国・自治体の補助金
2025年現在、V2Hの導入に利用できる補助金には、大きく分けて国の補助金と地方自治体の補助金の2種類があります。
経済産業省から交付される補助金
国の補助金では、「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」(CEV普及インフラ補助金)が利用できます。
この補助金は、電気自動車(EV)用の充電設備や、V2H機器の導入費用をサポートする制度です。
申請先は、次世代自動車振興センターとなります。
詳しくは、次世代自動車振興センター公式サイトをご覧ください。
地方自治体から交付される補助金
V2H補助金は国だけでなく、都道府県や市区町村などの地方自治体でも交付されている場合があります。
自治体によるV2H補助金は、国のCEV普及インフラ補助金と併用できるケースが多いのが特徴です。
国と自治体の両方の補助金を活用できれば、V2H導入の初期費用を大幅に抑えられます。
コストを抑えるためのポイント
V2Hをできるだけお得に導入するためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 国や自治体の補助金を活用する
CEV普及インフラ補助金や、地方自治体独自のV2H補助金を併用できれば、初期費用を大幅に軽減できます。 - 単機能タイプを選ぶ
太陽光発電や蓄電池と連携しない単機能タイプであれば、機器代を抑えられます。必要な機能だけを選ぶことも大切です。 - 複数業者から見積もりを取る
設置工事費用には業者によって大きな差が出るため、必ず複数社で比較検討しましょう。 - 太陽光発電や家庭用蓄電池と同時に検討する
パッケージ提案を活用すると、V2H単独導入よりもトータルコストを抑えられることがあります。
導入前にしっかりと情報を収集し、条件に合ったV2H機器と施工業者を選ぶことが、コストを抑える最大のポイントです。
今すぐ、
かんたん無料一括見積もりを
しましょう!
V2Hを導入する流れ

V2H機器を導入するには、機器選定や施工業者選び、各種申請手続きなど複数のステップを踏む必要があります。
導入までにどのくらいの期間がかかるかも含めて、事前にしっかり確認しておきましょう。
V2H機器の選定
まずは、ご家庭の使用目的に合わせたV2H機器を選びましょう。
メーカーの選定、太陽光・蓄電池との連携可否(連系タイプか単機能タイプか)、全負荷型か特定負荷型かなどを検討します。
あわせて、対応している電気自動車(EV・PHEV)の種類の確認も必要です。
施工業者の現場調査
次に、施工業者による現地調査を受けます。
設置スペースの有無、配線工事の内容、駐車場と住宅の距離などを現場で細かく確認します。
現場調査をもとに、最適な設置方法や追加工事の有無が提案されます。
今すぐ、
かんたん無料一括見積もりを
しましょう!
工事契約と設置工事
現場調査・見積もり内容に納得できたら、正式に工事契約を締結します。
工事内容は、V2H本体の設置、分電盤との接続、通線工事、動作確認までを含みます。
なお、太陽光発電システムをすでに導入しているか、これから導入するかによって、必要な申請手続きや期間が異なる場合があります。
電力会社との連系申請が必要なケースでは、V2H機器が実際に使用できるまで最大で半年程度かかることがあります。
V2H導入に向いている家庭・向いていない家庭

V2Hは、家庭の状況によって向き・不向きがあります。
ここでは、V2H導入に向いている家庭と向いていない家庭を紹介します。
V2H導入に向いている家庭
以下のような家庭では、V2H導入によるメリットが期待できます。
- 電気自動車やPHEVを所有している
- 太陽光発電を設置している、または検討している
- 災害時の備えを重視している
電気自動車や太陽光発電システムをすでに活用している、導入を予定している家庭では、V2Hを導入することでエネルギーの自給自足が可能です。
また、自然災害や停電リスクに備えたい家庭にとっても、V2Hは非常用電源として大きな安心材料となります。
自家消費の拡大や電気代の節約を目指す家庭には、特に適した選択肢といえるでしょう。
V2H導入に向いていない家庭
一方、以下のようなケースでは、V2H導入があまり効果的でない場合もあります。
- 電気自動車やPHEVを所有していない
- 太陽光発電システムを導入する予定がない
- 集合住宅(マンションなど)に住んでいる
- 初期投資に対するコスト回収を重視したい家庭
V2Hシステムは、EVや太陽光発電との連携を前提とした設備のため、これらがない家庭では十分な効果を発揮できません。
また、設置スペースが限られる集合住宅では導入が難しいケースもあります。
V2Hまとめ

V2Hは、電気自動車のバッテリーを活用して家庭に電力を供給できるエネルギーシステムです。
電気代の節約や災害時の非常用電源としての活用に加え、太陽光発電との組み合わせによって自家消費率も高められます。
導入には費用がかかるものの、国や自治体の補助金を活用すれば負担を大きく抑えることも可能です。

ご家庭のライフスタイルやエネルギー利用に合わせて、V2Hの導入をぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
今すぐ、
かんたん無料一括見積もりを
しましょう!