下関市(山口県)は関門海峡の潮流をエネルギーに!唐戸市場・海響館から広がるウォーターフロントの脱炭素

下関市(山口県)は関門海峡の潮流をエネルギーに!唐戸市場・海響館から広がるウォーターフロントの脱炭素 脱炭素先行地域の紹介

山口県下関市は、本州と九州を隔てる関門海峡に面した自治体です。唐戸市場や海響館などを擁するウォーターフロントが、観光・交流の拠点となっています。

一方、建物が集積しているあるかぽーと・唐戸エリアは、太陽光発電を設置できる場所が限られ、地域内だけで脱炭素化に必要な再エネ電力を確保することが難しい地域です。

そこで下関市は、市内各地で生み出す再エネ電力をウォーターフロントへ供給し、地域全体でエネルギーを循環させる仕組みを計画しています。さらに、関門海峡の速い潮流を地域資源と捉え、潮流発電の事業化も計画に盛り込みました。

地域資源と地域経済が循環する「海峡(環境)都市」を目指す、下関市の脱炭素先行地域としての取り組みを紹介します。

下関市が脱炭素先行地域になるまでの歩み

下関市が脱炭素先行地域になるまでの歩み
出典:環境省

下関市では、2050年の脱炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの地産地消や地域経済の活性化につながる仕組みづくりを進めてきました。

下関市における脱炭素の主な取り組み
  • 令和3年5月:「ゼロカーボンシティしものせき」を宣言
  • 令和6年6月:下関市が出資する地域新電力会社「株式会社海響みらい電力」を設立

これらの取り組みを経て、令和6年9月27日には環境省の脱炭素先行地域(第5回)に選ばれています。

脱炭素先行地域に選定された下関市の計画
  • 計画の名称
    地域経済のエコロジカルな循環による海峡(環境)都市づくり ~ウォーターフロントから始まるサステナブル・シティ~
  • 計画の内容
    あるかぽーと・唐戸エリアを中心に、市内各地で生み出した再エネ電力を地域新電力会社「海響みらい電力」を通じて供給し、エリア内の脱炭素化を進めます。唐戸市場や海響館では再エネ電力とカーボン・オフセット都市ガスを活用するほか、関門海峡の潮流を利用した潮流発電なども盛り込まれています。

出典:地域経済のエコロジカルな循環による海峡(環境)都市づくり ~ウォーターフロントから始まるサステナブル・シティ~
出典:「ゼロカーボンシティしものせき」宣言について
出典:地域新電力会社「株式会社 海響みらい電力」を設立いたしました。

下関市が進める脱炭素の具体的な取り組み

下関市が進める脱炭素の具体的な取り組み
出典:環境省

下関市の脱炭素先行地域では、あるかぽーと・唐戸エリアを中心に、市内各地の再エネを活用しながら地域経済の循環につなげる事業が進められています。

出典:地域経済のエコロジカルな循環による海峡(環境)都市づくり ~ウォーターフロントから始まるサステナブル・シティ~
出典:脱炭素先行地域における再エネ・省エネ設備導入支援補助事業について

市内各地の再エネをあるかぽーと・唐戸エリアへ供給

あるかぽーと・唐戸エリアは電力需要が大きい一方、建物が集積しているため、エリア内だけで必要な再エネ電力を確保するのは困難です。

そこで、山陰終末処理場・豊浦町川棚・豊田町などに太陽光発電設備を導入し、生み出された電力を地域新電力「海響みらい電力」を通じて供給します。

既存の廃棄物発電やバイオマス発電も活用し、市内各地の再エネをウォーターフロントへつなぐ仕組みです。

唐戸市場・海響館などウォーターフロントを脱炭素化

あるかぽーと・唐戸エリアでは、下関を代表する観光施設である唐戸市場や海響館を含む公共施設・民間施設・住宅の脱炭素化を進めます。

再エネ電力の供給と省エネ設備の導入を組み合わせ、エリア全体のCO₂排出削減を図る取り組みです。

令和7年度からは、エリア内の住宅や事業所を対象に、太陽光発電・蓄電池・エネルギーマネジメントシステム・高効率設備などの導入を支援する補助事業も実施されています。

関門海峡の潮流を利用した潮流発電を事業化

下関市ならではの地域資源として計画に盛り込まれているのが、関門海峡の潮流を利用した潮流発電です。

あるかぽーと・唐戸エリアに100kWの潮流発電設備を導入し、浮体式小型タービンによって関門海峡を流れる潮の力を電力へ変える構想です。

設備の製造・設置・保守運用への地元事業者の参画も想定されており、海洋エネルギーの活用を地域産業へつなげる考えが盛り込まれています。

地域で生み出したエネルギーと資金を地域内で循環

下関市では、再エネを導入してCO₂を削減するだけで終わらせず、エネルギーに伴う資金を市内で循環させる仕組みも計画の柱に据えています。

地域新電力の海響みらい電力を介して市内の再エネ電力を地域で利用するほか、地域金融機関やリース会社なども事業に参画します。

エネルギーの地産地消と地域企業の参加を組み合わせ、脱炭素による経済効果を地域へ還元する「地域経済のエコロジカルな循環」を目指す構成です。

下関市の脱炭素まちづくりまとめ

下関市の脱炭素まちづくりまとめ
出典:下関市

下関市は、「可能性を築くまち」を将来像に掲げ、脱炭素先行地域の取り組みを、加速する人口減少に立ち向かうための一手と位置づけています。

地域新電力による安価な再エネ電力の供給や、地域金融機関と連携した金利優遇融資、地域リース事業などを通じて地域経済の活性化と雇用の創出を図るとともに、環境教育や地域エコポイントを通じて持続可能なライフスタイルを広め、まち全体の魅力向上につなげる方針です。

関門海峡の潮流という他に類を見ない地域資源を生かした潮流発電は、その象徴的な取り組みといえます。あるかぽーと・唐戸エリアで得られた成果は、市内の他エリアや、同様の課題を抱える全国の水族館・卸売市場、海に面した自治体への横展開も想定されています。

監修者
エコ×エネ編集部

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【保有資格】太陽光発電アドバイザー(2025年取得)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(2021年取得)

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