山口市は、豊かな自然と歴史・文化に恵まれ、商業や行政機能も集まる県庁所在地です。中心市街地には、中心商店街をはじめ、お店やオフィス、金融機関、公共施設などのほか、マンション等が立地し、暮らしと経済を支える市の中心エリアとなっています。
一方、若者世代や子育て世代の人口が減少し、中心商店街においても小売業商店数や通行量も減少傾向にあり、地域のにぎわいを維持していくことが課題となっています。
そこで山口市は、商店街・住民・企業・市が連携し、再エネの導入やエネルギーの地産地消などの取組を通じて、環境にやさしく、にぎわいのある中心市街地づくりを進めています。
そこで山口市は、商店街・住民・企業・市が連携し、再エネの導入やエネルギーの地産地消などの取組を通じて、環境にやさしく、にぎわいのある中心市街地づくりを進めています。
脱炭素先行地域の選定を新たな地域づくりのきっかけとし、「ゼロカーボン中心市街地」の実現を目指す山口市の取り組みを紹介します。
山口市が脱炭素先行地域になるまでの歩み

山口市では、地球温暖化対策を進めるとともに、市民・事業者・市が連携し、地域課題の解決や地域の活性化につながる脱炭素を目指してきました。
- 平成30年3月:「山口市地球温暖化対策実行計画」を策定
- 平成30年3月:「山口市クールチョイス宣言」を表明
(令和6年1月:山口市デコ活宣言へ移行) - 令和3年3月:「第二次山口市エコフレンドリーオフィスプラン」を策定
(令和5年3月改訂) - 令和3年12月:「山口市ゼロカーボンシティ宣言」を表明
これらの取り組みを経て、令和4年11月1日には環境省の脱炭素先行地域(第2回)に選ばれています。
- 計画の名称
「ゼロカーボン中心市街地」~商店街・住民・企業・市の共創による市街地脱炭素化の実現~ - 計画の内容
山口駅から延びる駅通りなどの7つの商店街を含む中心市街地をはじめ、市役所新本庁舎や湯田温泉周辺の公共施設、清掃工場などが対象です。
脱炭素の取り組みとして、清掃工場の廃棄物発電や新たに整備する太陽光発電による再エネ電力の地産地消のほか、商店街や一般住宅などへの再エネ・省エネ設備の導入等を進める計画です。こうした取り組みを、既存の新規出店支援事業や交流人口の増加に向けた取り組み等と組み合わせることで、商店街・住民・企業・市の共創による中心市街地の活性化につなげようとしています。
出典:山口市の脱炭素先行地域 計画提案書
出典:令和3年12月定例記者会見を開催しました
山口市が進める脱炭素の具体的な取り組み

画像提供:山口市
山口市の脱炭素先行地域では、再エネの導入や省エネを進めながら、商店街の活性化や市民の行動変容、移動手段の見直しなどを組み合わせた取り組みが進められています。
出典:山口市の脱炭素先行地域 計画提案書
出典:山口市 脱炭素先行地域 令和6年度進捗状況報告票
太陽光発電と清掃工場の廃棄物発電で再エネ電力を供給
中心市街地で使用する再エネ電力は、新たに整備する太陽光発電と、山口市清掃工場で生み出される既存の廃棄物発電を活用して確保します。
太陽光発電は最終処分場跡地や公共施設などへの導入を進め、発電した電力を地域新電力会社を介して公共施設や民間施設などへ供給する仕組みです。
太陽光発電の出力が変動する時間帯を廃棄物発電などで補い、地域内で生み出した再エネ電力を中心市街地で利用します。
商店街に太陽光発電設備・蓄電池・EMS・省エネ設備の導入を支援
商店街をはじめとした中心市街地エリアの店舗や事業所等を対象に、PPAや自己所有による太陽光発電設備・蓄電池の導入に加え、エネルギー使用量を見える化・最適化するEMSの導入を支援しています。
さらに、空調や照明、給湯などの省エネルギー設備の導入支援も行い、事業者の脱炭素化を総合的に後押ししています。
湯田温泉こんこんパークで太陽光発電と温泉熱を活用
令和7年6月に供用を開始した「湯田温泉こんこんパーク」では、山口市の地域資源である温泉を脱炭素に活用しています。
施設には屋根一体型の太陽光発電パネルを設置し、発電した電力を施設内で使用しています。また、敷地内にある既設の泉源から高温の温泉熱を取り出し、床暖房や温浴設備の浴槽の昇温などに利用する仕組みです。
再エネ普及啓発や脱炭素化への行動変容の促進
地域脱炭素の推進に向けた市民の理解促進と行動変容のきっかけづくりの一環として、市と地域新電力会社が連携して、中心商店街をフィールドとした市民参加型の環境啓発事業を実施することを予定しています。
具体的には、地域新電力会社の利益を地域に還元する仕組みとして、市が実施予定のデコ活川柳などの環境啓発事業に対して、地域新電力会社が協賛することを基本スキームとして、実施に向けた調整を進めています。
EVカーシェアで移動手段を脱炭素化
自動車への依存度が高い山口市では、移動分野の脱炭素化も計画に含まれています。
公用車などをEVへ切り替え、閉庁時には地域住民や観光客が利用できるカーシェアとして活用します。
山口市の脱炭素まちづくりまとめ

山口市は、脱炭素先行地域の取り組みを、中心市街地における再エネの地産地消と地域経済の循環を同時に実現する足がかりと位置づけています。
商店街への再エネ・省エネ設備の導入により、中心市街地の店舗等の経営基盤の強化を図るとともに、環境にやさしい商店街としてのブランディングを高めることで、来街者の増加につなげていきます。また、EVカーシェアやウォーカブルなまちづくりと組み合わせることで、若者世代を含めたまちなか居住の促進にもつなげる方針です。
さらに、ゼロカーボンシティの実現に向けて、中心市街地での先導的な取り組みの成果や課題を検証し、その知見を市内の他地域に展開していくことも念頭に置きながら、引き続き脱炭素先行地域の取り組みを着実に推進していく考えです。

