大雪山国立公園の東山麓に位置する上士幌町は、酪農と観光を主産業とする自然豊かな町です。
町内では乳牛のふん尿を活用したバイオガス発電などの再生可能エネルギー導入が進められており、その取り組みはふるさと納税の使途としても掲げられています。
地域資源を生かした再エネの取り組みに加え、近年は公共施設を舞台にした脱炭素のまちづくりにも力を入れています。
出典:カーボンニュートラルなまちづくりプロジェクト|北海道 上士幌町
上士幌町の脱炭素先行地域への歩み

上士幌町は北海道十勝地方の北部にある町です。日本一広い国立公園である大雪山国立公園の東山麓に位置し、町域の約76%を森林が占めています。
2021年12月、上士幌町は町議会定例会において「北海道上士幌町ゼロカーボンシティ宣言」を表明しました。翌2022年4月には環境省の第1回脱炭素先行地域に選定され、以降は「ゼロカーボン上士幌の実現とスマートタウンの構築」を掲げて取り組みを進めています。
| 計画・宣言 | 時期 | 目標 |
| 北海道上士幌町ゼロカーボンシティ宣言 | 2021年12月 | 2050年度までに温室効果ガス排出量実質ゼロ |
| 上士幌町地球温暖化対策実行計画 | 2023年3月策定 | 2030年度までに2013年度比で50%削減 |
公共施設を核に進む「カーボンニュートラルなまちづくりプロジェクト」

脱炭素先行地域計画に基づき、上士幌町は役場庁舎周辺の公共施設を対象とした4つの事業を一体的に進めています。
4事業の概算事業費は合計50億円を超え、地域脱炭素・再エネ推進交付金に加え、企業版ふるさと納税による寄附金も財源に充てられています。
耐震とZEB化で生まれ変わる庁舎機能
老朽化した役場庁舎の3階部分を解体して2階建てに改修し、徹底した省エネ化と再エネの導入によるZEB化を目指しています。設計段階のZEB第三者評価は2026年6月に取得済みです。
旧消防庁舎跡地に新たな町民ホールを
町民ホールを旧消防庁舎跡地に新築し、議会機能や避難場所を兼ねる集会施設として整備する予定です。構造材には町産カラマツ認証材が用いられており、森林資源の循環にもつながります。
太陽光発電と蓄電池がつくる災害に強い電力網
役場庁舎(新町民ホールを含む)・スポーツセンター・消防庁舎・ふれあいプラザの4施設を自営線でつなぐマイクログリッドを構築中です。
太陽光発電326kW、蓄電池860kWhを整備し、平時は電気代削減と化石燃料の使用削減に活用します。停電時は各施設が自立運転し、防災拠点としての機能を維持します。
実施設計・工事は2024年度から2027年度にかけて進められています。
森の恵みと地下水熱による地域循環型の熱エネルギー
エネルギー棟を新設し、地域産の木質チップを燃料とするバイオマスボイラー(301kW×2基)と、地下水熱を利用した設備の導入を進めています。
木質バイオマスボイラーは冬季の暖房に、地下水熱は夏季の冷房に活用され、化石燃料を使用する既存の重油ボイラーを廃止できる見込みです。
この設備更新による温室効果ガスの削減効果は、年間179t-CO2と試算されています。
上士幌町の脱炭素まちづくりまとめ

上士幌町は2050年度までの温室効果ガス排出実質ゼロを掲げ、2030年度には2013年度比で50%削減という中間目標を設定しています。
マイクログリッドによる電力の地産地消と防災力強化、木質バイオマス・地下水熱を活用した熱エネルギーの循環、公共施設のZEB化という3つの柱を通じて、庁舎機能そのものを脱炭素の拠点へと変えようとしています。
企業版ふるさと納税という形で全国からの支援を募りながら、森と水の恵みを生かしたまちづくりを進めていく方針です。

