佐渡市(新潟県)が挑む脱炭素先行地域!離島の防災力とトキが育つ自然を両立させる取り組みとは

佐渡市(新潟県)が挑む脱炭素先行地域!離島の防災力とトキが育つ自然を両立させる取り組みとは 脱炭素先行地域の紹介

新潟県佐渡市は、日本海に浮かぶ日本最大の離島であり、国の特別天然記念物トキの生息地としても知られています。

本土と電力系統がつながっていない離島特有の弱さを抱える一方、豊かな自然環境を生かした脱炭素の取り組みが進められています。

本記事では、佐渡市の脱炭素先行地域としての具体的な施策を紹介します。

佐渡市「ゼロカーボンアイランド宣言」と脱炭素先行地域への選定

佐渡市「ゼロカーボンアイランド宣言」と脱炭素先行地域への選定
出典:佐渡市

令和2年2月、佐渡市は粟島浦村と共同で「ゼロカーボンアイランド宣言」を表明しました。2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを目指す内容です。

ゼロカーボンアイランド宣言を土台として、佐渡市は令和4年4月26日、環境省の第1回「脱炭素先行地域」に共同提案者の新潟県とともに選定されました。

離島地域におけるEMSを活用した自立分散・再生可能エネルギーシステム導入による持続可能な地域循環共生圏の構築(脱炭素先行地域に選定された佐渡市の取り組みの名称)

公共施設や防災拠点への再エネ・蓄電池の導入とエネルギーマネジメントシステム(EMS)の構築を軸に、離島特有のエネルギー課題の解決を目指す取り組みです。

出典:佐渡市が脱炭素先行地域(第1回)に選定されました
出典:2050年カーボンニュートラル宣言

佐渡市が進める脱炭素の具体的な取り組み

佐渡市が進める脱炭素の具体的な取り組み
出典:佐渡市

佐渡市の脱炭素先行地域事業は、離島特有の防災課題への対応を軸にしている点が特徴です。公共施設への再エネ・蓄電池導入、公用車・観光交通のEV化、地域ブランディングという3つの柱で構成されています。

出典:離島地域におけるEMSを活用した自立分散・再生可能エネルギーシステム導入による持続可能な地域循環共生圏の構築

防災拠点への大型蓄電池設置とEMSによる一元管理

佐渡市は本土と電力系統がつながっていない離島であり、災害時に電源が失われると復旧までに時間がかかるという課題を抱えています。

脱炭素先行地域事業では、市内の防災・観光・教育に関する施設を対象に、屋上等を活用した太陽光発電や蓄電池を導入する計画が進んでいます。

旧市町村単位に立地する市役所・支所・行政サービスセンターなど10地区には大型の蓄電池を配置し、災害時の電源確保を強化する方針です。

また、各施設の再エネ発電量とエネルギー需要を一元的に管理するエネルギーマネジメントシステム(EMS)を構築し、施設間で電力を融通し合う体制も整えられています。

公用車・観光交通のEV化と再エネ100%EVステーション

佐渡市では公用車を対象に、9年間で25台をEV化する計画を進めています。道の駅「あいぽーと佐渡」には再エネ100%のEVステーションを整備し、レンタカー事業者や宿泊施設によるEV・充電設備の導入も支援する予定です。

観光シーズンにレンタカーが不足しやすいという課題の解決や、佐渡金山の世界遺産登録を見据えた観光受け入れ体制の強化にもつなげる狙いがあります。

商店街や中山間地では、小型の電動車両「グリーンスローモビリティ」による地域交通サービスも提供され、高齢者の外出機会の創出や旅行者の利便性向上に役立てられています。

トキが育つ自然と共生する島としてのブランディング

佐渡市では、一度は日本の野生下から姿を消した国の特別天然記念物トキが、放鳥後の野生復帰を通じて再び生息するようになりました。この歩みを通じて、自然と共生するまちづくりを進めてきた歴史があります。

脱炭素先行地域事業では、この「トキと共に暮らす」というイメージを生かし、脱炭素と生物多様性を両立する島としての環境ブランドを打ち出しています。

再生可能エネルギーの活用によって島外への燃料代金の流出を抑えるとともに、再エネ関連産業の振興による雇用の創出や、観光を含む地域経済の活性化にもつなげる狙いがあります。

佐渡市の脱炭素まちづくりまとめ

佐渡市の脱炭素まちづくりまとめ
出典:佐渡市

佐渡市の脱炭素先行地域事業が示すのは、離島特有の防災課題の解決と、トキを育んできた自然環境の価値を組み合わせた発想です。

再エネ・蓄電池・EMSによるエネルギー自立は、災害に強いまちづくりにつながると同時に、観光や産業振興にもつながる可能性を持っています。

自然と共生しながら脱炭素を進める佐渡市の取り組みは、同じような離島や条件不利地域にとっても参考になる事例だといえるでしょう。

監修者

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