横浜市(神奈川県)は大都市の弱点を広域連携で補う!みなとみらい21地区で進める脱炭素まちづくり

横浜市(神奈川県)は大都市の弱点を広域連携で補う!みなとみらい21地区で進める脱炭素まちづくり 脱炭素先行地域の紹介

神奈川県横浜市は、人口約376万人(令和8年8月時点)を擁する日本最大の基礎自治体です。脱炭素先行地域の対象エリアであるみなとみらい21地区(MM21地区)は、オフィス・商業施設・文化施設が集積する都心臨海部であり、来街者は年間約1億180万人にのぼります。

横浜市は令和3年に総人口が初めて前年を下回るなど、人口減少の兆しが見え始めています。また、MM21地区は超高層ビルが多く、屋上には空調設備やヘリポートが集中しているため、太陽光発電を新たに設置できるスペースがほとんどありません。市内の再エネ導入可能量そのものも限られており、大都市の都心部ならではの構造的な弱さを抱えています。

横浜市はこれらの課題に、市営住宅や調整池といった郊外部、さらには他自治体との広域連携によって、再エネを都心部へ届ける仕組みで向き合っています。

出典:横浜市

横浜市が脱炭素先行地域になるまでの歩み

横浜市が脱炭素先行地域になるまでの歩み
出典:環境省

横浜市は、市役所の率先行動と実証実験の積み重ねを土台に、大都市としての脱炭素化を進めてきました。

横浜市における脱炭素の主な取り組み
  • 平成22年:経済産業省「次世代エネルギー・社会システム実証地域」に選定され、横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)を開始
  • 平成30年6月:内閣府「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」に選定
  • 令和元年6月:ゼロカーボンシティを表明
  • 令和2年:市庁舎が完成しZEB Readyを達成、使用電力にはごみ焼却工場のバイオマス発電の環境価値を充当しCO₂排出実質ゼロを実現
  • 令和3年:「横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例」を制定
  • 令和3〜4年度:小中学校65校を対象にオンサイトPPAによる太陽光発電・蓄電池の導入を開始

これらの取り組みを経て、令和4年4月26日には環境省の脱炭素先行地域(第1回)に選ばれています。

脱炭素先行地域に選定された横浜市の計画
  • 計画の名称
    みなとみらい21地区における公民連携で挑戦する大都市脱炭素化モデル
  • 計画の内容
    都心臨海部のみなとみらい21地区(MM21地区、対象45施設)を対象に、市内郊外部(市営住宅・調整池)や他自治体との広域連携によるオフサイトPPA、日本最大規模の地域冷暖房の脱炭素化を進め、再エネポテンシャルの低い大都市都心部での脱炭素化モデルの確立を目指す取り組みです。
    横浜市が主体となって事業を進め、共同提案者である一般社団法人横浜みなとみらい21が、地域全体のエリアマネジメントと合意形成を担う体制がとられています。

出典:脱炭素先行地域の取組
出典:みなとみらい21地区における公民連携で挑戦する大都市脱炭素化モデル

横浜市が進める脱炭素の具体的な取り組み

横浜市が進める脱炭素の具体的な取り組み
出典:横浜市

横浜市の脱炭素まちづくりでは、都心部における再エネポテンシャルの低さを、郊外部や他自治体との連携によって補う取り組みが進められています。

出典:みなとみらい21地区における公民連携で挑戦する大都市脱炭素化モデル

郊外部の市営住宅・調整池を活用したオフサイトPPA

MM21地区は超高層ビルが多く、太陽光発電を新たに設置できる場所がほとんどありません。

横浜市はこの制約に対し、市内郊外部にある市営住宅と、公園などに利用されていない調整池のうち規模の大きい場所を対象に、オフサイトPPAで太陽光発電を導入する予定です。

日本最大規模の地域冷暖房の脱炭素化

MM21地区には、みなとみらい二十一熱供給株式会社による日本最大規模の地域冷暖房が展開されており、地区内64施設に熱を供給しています。

同社は新設する第3プラントでグリーン冷媒を採用したターボ冷凍機を導入し、令和12年までに平成25年度比で20%以上の省エネ性能を達成する計画です。

電力の再生可能エネルギーへの切り替えや、ガス由来のCO₂削減に向けた水素ボイラへの転換も検討しています。

他自治体との広域連携による再エネ調達

横浜市は、再エネ資源が豊富な自治体と「地域循環共生圏」の考え方に基づく連携協定を締結し、連携先で発電した再エネを活用した電気メニューを、小売電気事業者を介して市内へ供給しています。

また、ごみ焼却工場のバイオマス発電による環境価値を付加した地産地消の電気メニュー「はまっこ電気」も、MM21地区の需要家に電力を提供しています。

広域連携によるメニューによる電気代の一部は地域活性化資金として連携先自治体へ還元しており、都心部の脱炭素化が地方圏の活性化にもつながる設計です。

資源循環による街全体の巻き込み

MM21地区内施設で発生する食品残さは、市内事業者がメタン発酵させてバイオマス発電を行い、発電した電気の一部を地区内の公園照明に供給しています。

ペットボトルについても、商業施設で回収したものを再びペットボトルとして再生する「ボトルtoボトル」の仕組みを実施中です。

横浜市の脱炭素まちづくりまとめ

横浜市の脱炭素まちづくりまとめ
出典:横浜市

横浜市の脱炭素先行地域の取り組みは、大都市都心部が抱える構造的な弱さを、郊外部や他自治体との連携によって補う設計に特徴があります。

市営住宅や調整池での再エネ創出、他自治体からの電力調達、地域冷暖房の低炭素化という複数の手法を組み合わせ、再エネポテンシャルの低さを都心部単独では解決しない前提で計画を組み立てています。

横浜市はMM21地区での成果を、市内の他の都心部や他都市へも展開する方針です。

横浜市で利用できる太陽光発電・蓄電池の補助金については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

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監修者
エコ×エネ編集部

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【保有資格】太陽光発電アドバイザー(2025年取得)/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(2021年取得)

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