京都府北部に位置する福知山市は、環境省の「脱炭素先行地域」に選定された自治体です。
「脱炭素×子育て・スポーツ」をテーマに掲げ、太陽光発電などの再生可能エネルギーを増やすだけでなく、その取組を子どもたちの未来につなげる脱炭素まちづくりを計画しています。
本記事では、福知山市のこれまでの歩みや、これからの脱炭素先行地域の取組について解説します。
福知山市が着目したのは、子どもたちが放課後等に取り組むスポーツの指導者など、「子どもの体験機会」創出の担い手をいかに確保するかという点です。
そこで、福知山市は、子どもの体験機会の創出と放課後スポーツ活動の指導者の不足という課題を同時に解決する「地域課題解決型複業」モデルを構想しました。さらに、養豚団地跡地を活用して市民出資型オフサイト太陽光発電を行う取組では、その売電収益の一部を地域に還元し、子どもの体験機会の創出等につなげようとしています。
福知山市が脱炭素先行地域になるまでの歩み

福知山市は、公共施設への再エネ導入や公用車のEV化、庁舎照明のLED化など、脱炭素化推進の基盤づくりを積極的に進めてきました。
- 平成27年3月:「福知山市再生可能エネルギー活用プラン」を策定
- 平成31年1月:本市と京都北都信用金庫、たんたんエナジー株式会社、プラスソーシャルインベストメント株式会社、龍谷大学地域公共人材・政策開発リサーチセンターの5者による「地域貢献型再生可能エネルギー事業の推進に関する協定(5者協定)」の締結
- 令和2年4月:公共施設への再エネ由来電気の供給を開始
- 令和3年2月:2050年までのCO₂排出実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明
- 令和3~5年:市民出資型オンサイトPPA事業を三段池公園総合体育館・武道館・学校給食センター・南陵中学校・夜久野支所・桃映中学校・三和荘の計7カ所で実施
- 令和5年3月:「福知山市エネルギー・環境基本計画」を策定
これらの取組を経て、令和8年2月13日には環境省の脱炭素先行地域(第7回)に選ばれています。
- 計画の名称
「脱炭素×子育て・スポーツ」のまちづくり~地域脱炭素事業を通じた子どもの体験格差の解消~ - 計画の内容
夜久野エリア・つつじが丘団地エリア・福知山公立大学エリア・三段池公園エリア・長田野工業団地エリアの5エリアを対象に、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入し、再エネ電力を生み出します。また、日中は地元事業者・夕方や休日は総合スポーツクラブで雇用する「地域課題解決型複業」モデルを展開し、再エネ売電収益の一部を子どもの体験機会の創出に還元します。
出典:北近畿初!京都府福知山市が環境省「脱炭素先行地域」に選定
福知山市が進める脱炭素の具体的な取組

福知山市の脱炭素先行地域において、ハード面では「養豚団地跡地を活用した再エネ導入」が、ソフト面では「地域課題解決型複業」が特徴的な取組です。
出典:北近畿初!京都府福知山市が環境省「脱炭素先行地域」に選定
出典:福知山市:「脱炭素×子育て・スポーツ」のまちづくり~地域脱炭素事業を通じた子どもの体験格差の解消~
養豚団地跡地等を活かした再エネ導入
夜久野エリアの養豚団地跡地を活用したオフサイト太陽光発電設備の導入が予定されています。この取組については、事業費の一部を市内外の個人又は民間事業者からの出資で賄う「市民出資型」の仕組みが構想されています。
また、地元事業者が主体となり、地域の地形や日照条件に柔軟に対応できる角度可変型営農型太陽光発電設備の設置が予定されています。
こうした再エネ導入の取組は市内の公共施設でも進められており、三段池公園のテニスコート観客席には、太陽光パネルを備えた「ソーラーシェルター」が設置されています。

画像提供:福知山市
その他の取組として、長田野工業団地エリアを対象に、太陽光発電設備導入費用に対する補助金制度が創設されています。これにより、立地企業の再エネ導入による産業部門の脱炭素化も促進します。
地域課題解決型複業による放課後スポーツ活動の指導者確保
子どもの体験機会の創出を目指し、日中は地元の事業者で勤務し、夕方・休日は地域スポーツクラブで指導を行う「地域課題解決型複業」モデルを展開します。
再エネ売電収益の一部を地域に還元
市民出資型オフサイト太陽光事業における再エネ売電収益の一部は、子どもたちの体験機会の創出など、地域に還元することをめざしています。
福知山市の脱炭素まちづくりまとめ

福知山市の脱炭素先行地域の取組は、「脱炭素×子育て・スポーツ」をテーマに、再エネ導入による脱炭素と子どもの体験機会の創出を結び付けています。
「地域課題解決型複業」は、子どもの体験機会の創出と放課後スポーツ活動の指導者の不足という課題を同時に解決することをめざした仕組みです。また、養豚団地跡地を活用した市民出資型オフサイト太陽光発電については、2028年度の導入完了を目指して取組を進めていく予定です。
最終的に2030年度には、計画エリア内の民生部門の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロをめざす計画となっています。

