さいたま市は、埼玉県南東部にある人口約136万人(2026年8月時点)の政令指定都市です。平成13年に浦和市・大宮市・与野市が合併して誕生し、平成17年には岩槻市を編入しました。
市内企業の約98%を占める中小企業の自助努力だけでは脱炭素化の効果が限定的になりやすく、エネルギー代金は年間約1,790億円が市域外へ流出しています。さいたま市はこの課題に、行政・民間・大学という3つの主体がそれぞれ主役となって取り組む「公民学」の連携で向き合っています。
出典:さいたま市
さいたま市が脱炭素先行地域になるまでの歩み

さいたま市は、電気自動車の普及施策や次世代自動車・スマートエネルギー特区の指定を土台に、公民学が連携する脱炭素化を進めてきました。
- 平成21年:電気自動車普及施策「E-KIZUNA Project」を開始
- 平成23年:内閣府「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の地域指定を受ける
- 平成27年:市立学校164校への太陽光発電設備・蓄電池の設置を完了
- 令和2年7月:内閣府「SDGs未来都市」に選定
これらの取り組みを経て、令和4年4月26日には環境省の脱炭素先行地域(第1回)に選ばれています。
- 計画の名称
さいたま発の公民学によるグリーン共創モデル - 計画の内容
市所有の全公共施設627施設、埼玉大学・芝浦工業大学のキャンパス、浦和美園地区の商業施設・住宅街区を対象に、太陽光発電やごみ焼却発電の活用、シェア型マルチモビリティの拡大を進め、行政・民間・大学それぞれが主体となる脱炭素化を目指す取り組みです。
さいたま市が主体となって事業を進め、共同提案者である埼玉大学や芝浦工業大学、東京電力パワーグリッド株式会社埼玉総支社が、キャンパスの脱炭素化や電力供給を担う体制がとられています。
出典:さいたま市の事業計画が地域脱炭素移行・再エネ推進交付金(脱炭素先行地域事業)に選定されました
出典:さいたま発の公民学によるグリーン共創モデル
さいたま市が進める脱炭素の具体的な取り組み

さいたま市の脱炭素まちづくりでは、公共施設群・大学キャンパス・浦和美園地区を対象に、公民学それぞれの主体が連携した取り組みが進められています。
公共施設群の脱炭素化とごみ発電の自己託送
さいたま市が所有する全ての公共施設を対象に、太陽光発電の導入とエネルギーマネジメントシステム(EMS)の設置を進めています。
すでに全ての市立学校には太陽光発電・蓄電池が設置済みであり、停電時にも体育館や職員室の災害用コンセントから電力を使える体制が整っています。
また、新たに整備するごみ焼却施設「サーマルエネルギーセンター」で発電したバイオマス由来の電力は、自己託送という制度を通じて他の公共施設に届けられる予定です。
大学キャンパスの脱炭素化と人材育成
埼玉大学と芝浦工業大学大宮キャンパスを対象に、太陽光発電の導入と省エネ改修を進めています。
芝浦工業大学では、施設整備に合わせた電化・省エネ化に加え、学生が主体となって地域や企業と協力しながら脱炭素のアイデアを形にする活動拠点の整備も計画されています。
浦和美園地区のスマートホーム・コミュニティと商業施設のPPA
浦和美園地区では、平成27年から「アーバンデザインセンターみその」を拠点に、公民学が連携したまちづくりが進められてきました。
住宅街区「スマートホーム・コミュニティ」では、各戸の太陽光発電・蓄電池に加え、電気自動車(EV)を平日は蓄電池として、休日は住民同士のシェアカーとして使う体制がすでに構築されています。
さいたま市の脱炭素まちづくりまとめ

さいたま市の脱炭素先行地域の計画に一貫しているのは、すでにある取り組みを掛け合わせる発想です。EV普及施策や大学との連携、美園地区のまちづくりといった、脱炭素先行地域の選定より前から積み重ねてきた実績を、公民学という3つの主体でつなぎ直しています。
さいたま市が掲げる将来像は、脱炭素ドミノの火付け役・ゼロカーボンシティ・スマートシティ・SDGs未来都市を同時に体現するまちです。人口130万人超という規模の大きさを、制約ではなく多様な主体を巻き込める強みとして生かそうとしています。


