鳥取県西部に位置する米子市では、脱炭素先行地域に選定される以前から、エネルギーの地産地消や地域内での資金循環に取り組んできました。
令和4年4月には、境港市・ローカルエナジー株式会社・株式会社山陰合同銀行と共同で環境省の第1回脱炭素先行地域に選定され、荒廃農地を活用した太陽光発電や公共施設への再エネ導入、水道施設の脱炭素化などを進めています。
これまで築いてきた地域エネルギーの仕組みを生かしながら、再生可能エネルギーの地産地消を広げ、地域課題の解決と脱炭素を結び付ける米子市の取り組みを紹介します。
米子市が脱炭素先行地域になるまでの歩み

米子市は、国の実証事業を活用しながら、地域主体でエネルギー事業を担う体制づくりを進めてきました。地元企業や境港市を巻き込んだ官民連携の枠組みは、脱炭素先行地域の共同提案者体制にもつながっています。
- 平成25・26年度:総務省の実証事業を活用し、地域エネルギー会社設立に向けた事業性を検証
- 平成27年12月:米子市・地元企業5社の出資により「ローカルエナジー株式会社」を設立
- 平成30年度:環境省グッドライフアワード「環境大臣賞 自治体部門」を受賞
- 令和2年11月:ローカルエナジー株式会社が米子水鳥公園にRE100電気の供給を開始
- 令和3年2月:米子市が「ゼロカーボンシティ」を表明(境港市は同月14日に表明)
- 令和3年4月:公共施設等へのRE100電気供給を開始
これらの取り組みを経て、令和4年4月26日には環境省の脱炭素先行地域(第1回)に選ばれています。
- 計画の名称
地域課題解決を目指した非FIT再エネの地産地消と自治体が連携したCO2排出管理によるゼロカーボンシティの早期実現 - 計画の内容
米子市の中心市街地、境港市の観光地、両市の公共施設群、両市に点在する荒廃した農地を対象に、既存のバイオマス発電や新規の太陽光発電による電力供給と、水道施設への大規模蓄電池の整備を組み合わせ、脱炭素化と地域課題の解決を同時に目指す取り組みです。
共同提案者であるローカルエナジー株式会社がPPA事業者としての電力需給管理を、株式会社山陰合同銀行が資金調達面での支援をそれぞれ担う体制がとられています。
出典:地域課題解決を目指した非FIT再エネの地産地消と自治体が連携したCO2排出管理によるゼロカーボンシティの早期実現(計画提案書)
米子市が進める脱炭素の具体的な取り組み

米子市の脱炭素先行地域では、地域新電力ローカルエナジー株式会社やごうぎんエナジー株式会社が中心となり、荒廃農地や公共施設への再エネ導入と、既存の再エネ資源の活用を組み合わせた取り組みが進められています。
出典:地域課題解決を目指した非FIT再エネの地産地消と自治体が連携したCO2排出管理によるゼロカーボンシティの早期実現(計画提案書)
出典:脱炭素先行地域 中間評価報告票(令和6年度分)
荒廃農地を活用した太陽光発電と水道施設のBCP対策の強化
米子市・境港市に点在する荒廃した農地を活用し、オフサイトPPA方式による太陽光発電の導入を進めています。
米子市上下水道局の施設用地には、太陽光発電と大規模蓄電池を組み合わせて導入し、災害時の電力確保によって水道事業のBCP(事業継続計画)対策の強化につなげます。
既存のバイオマス発電と公共施設群への再エネ供給
米子市クリーンセンターと内浜処理場では、ごみ焼却時の廃棄物発電や下水処理の消化ガス発電を行っており、この電力を自己託送によって米子市の公共施設へ供給しています。
また、公共施設へのオンサイトPPA方式による太陽光発電の導入も進めています。
公共施設におけるRE100電気の調達にも取り組んでおり、トラッキング付非化石証書を活用することで、実質的に再生可能エネルギー100%の電力を供給する仕組みを広げています。
データプラットフォームによる見える化の推進
ローカルエナジー株式会社は、契約する公共施設のスマートメーターデータを一元管理するエネルギーデータプラットフォームを構築し、電気使用量やCO₂排出量を日次で見える化しています。市民もポータルサイトから排出量を確認できるようにすることを目指し、機能の開発を進めています。
米子市の脱炭素まちづくりまとめ

米子市は、地域新電力を核としたエネルギー事業の基盤を築き、その仕組みを脱炭素先行地域の取り組みに発展させてきました。再生可能エネルギーの導入を地域の課題解決や防災、地域経済と結び付けながら、持続可能な地域づくりにつなげています。
脱炭素先行地域での取り組みを通じて、地域で生み出したエネルギーを地域で活用する仕組みをさらに広げ、地域内での資金循環も含めた新たな地域経済の基盤を築くことが、米子市の描くゼロカーボンシティの姿です。

