千葉県北東部、関東平野の最東端に位置する銚子市は、三方を海に囲まれた半島性の地形を持つまちです。全国有数の水揚げ量を誇る銚子漁港を擁し、水産業を基幹産業としています。
令和8年には環境省の脱炭素先行地域に選定され、陸上風力発電を軸に水産業と脱炭素化を両立させる取り組みを進めています。
本記事では、脱炭素のまちづくりにおいて銚子市が掲げる目標と具体的な取り組みを紹介します。
銚子市における脱炭素先行地域選定の経緯と目標

令和3年2月16日、銚子市は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ銚子」を表明しました。
「ゼロカーボンシティ」とは、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すと表明した自治体のことです。銚子市は、地球温暖化防止の意識啓発を高め、再生可能エネルギーの利用・導入を推進する狙いから、この表明を行いました。
令和8年2月13日には、環境省の脱炭素先行地域(第7回)に選定されました。千葉県内では千葉市・匝瑳市・市川市に続く4例目です。
銚子漁港周辺の水産エリアと、大型陸上風力を新設するエネルギー供給エリアの2エリアを対象に、水産業の脱炭素化に取り組んでいます。
出典:銚子市は「ゼロカーボンシティ」を表明しました
出典:環境省の「脱炭素先行地域(第7回)」に選定されました
銚子市の具体的な取り組み

銚子市では、水産エリアとエネルギー供給エリアの2エリアを対象に、風力発電を核とした脱炭素の取り組みが進められています。
出典:風と海のまち銚子~地域裨益型風力発電からはじまる地域内経済循環モデルの実現~(脱炭素先行地域計画提案書)
地域裨益型陸上風力発電や蓄電池の新設
銚子市では、老朽化した風車の撤去跡地を活用し、大型の地域裨益型陸上風力発電と蓄電池を新設する取り組みが進められています。
地域裨益型陸上風力発電による再エネ電力は、地元の住宅や企業へ長期的に価格が安定した電力として供給されます。また、事業で得た収益の一部は地域内へ再投資され、水産業をはじめとする地域経済の活性化につなげる予定です。
冷凍・冷蔵施設のデマンドレスポンス
銚子市では、東京大学発のスタートアップ企業である株式会社Freezoと連携し、冷凍・冷蔵施設の冷熱需要を制御する「魚でレスポンス」というデマンドレスポンスの導入が進められています。
風力発電の出力変動に合わせて冷凍・冷蔵設備の運転を調整し、再エネの効率的な地産地消と電力コストの削減を同時に実現する取り組みです。
この取り組みにより、水産エリア全体で年間約224トンのCO₂削減効果が見込まれています。
「銚子ブルーエコノミー」の推進
銚子市漁業協同組合とその子会社である株式会社銚子漁業共生センターが中心となり、名洗港でのアラメ藻場造成や、黒生港でのワカメ・コンブ養殖が進められています。
風力発電設備のメンテナンスに関わる地元人材の育成も、銚子ブルーエコノミーの一環として進められています。
銚子市の脱炭素まちづくりまとめ

銚子市の脱炭素先行地域としての取り組みは、風力発電による「風」の恵みを、水産業による「海」の恵みへとつなげていく点に特徴があります。
発電で得た電力や収益を地域の外に流出させず、水産業の経営安定や海洋環境の再生に還元する体制を整え、脱炭素と基幹産業の持続可能性を同時に高めることが狙いです。
長年、漁業とともに歩んできた銚子市にとって、脱炭素の取り組みは環境対策であると同時に、水産業を次の世代へつなぐための地域経済戦略でもあります。


