福島県会津地方に位置する会津若松市は、鶴ヶ城を中心とした城下町として知られ、猪苗代湖や周囲の山々に囲まれた自然豊かなまちです。
約10年にわたる「スマートシティ会津若松」の実績を土台に、脱炭素の取り組みを進めています。
令和5年4月には環境省の脱炭素先行地域に選定され、AIによる電力需給調整やデジタル地域通貨を活用した独自の施策を展開中です。
本記事では、会津若松市が掲げる目標と具体的な取り組みを紹介します。
会津若松市における脱炭素先行地域選定の経緯と目標

会津若松市は、令和3年12月27日、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ会津若松宣言」を行いました。約10年にわたる「スマートシティ会津若松」の取り組みで培ったデジタル技術の実績が、この宣言の土台になっています。
ICT(情報通信技術)や環境技術を生活に関わる様々な分野で活用し、持続力と回復力のある地域社会づくりを進める、市の多様な取り組みの総称です。
東日本大震災からの復興をきっかけに、市内の様々なデータを連携させる「データ連携基盤」の整備に早くから取り組み、地域通貨や医療・交通などの分野でDXを進めてきました。
令和5年4月28日には、環境省の脱炭素先行地域(第3回)に、関係省庁と連携した「重点選定モデル」の一つとして選定されました。選定されたのは鶴ヶ城周辺エリア・会津アピオエリア・湊エリアの3エリアで、2030年度までに民生部門の電力消費に伴うCO₂排出を実質ゼロにする目標を掲げています。
出典:ゼロカーボンシティ会津若松宣言(2050年までのできるだけ早い時期に温室効果ガス排出量実質ゼロを目指します)
出典:【報告】脱炭素先行地域について
会津若松市の具体的な取り組み

会津若松市では、脱炭素先行地域に選定された3エリアを中心に、デジタル技術を組み合わせた独自の取り組みが進んでいます。
脱炭素先行地域3エリアでの太陽光発電・蓄電池導入支援
鶴ヶ城周辺エリア・会津アピオエリア・湊エリアの3エリアでは、住宅や事業所への太陽光発電・蓄電池の導入に補助金が交付されています。
住宅用太陽光発電システムと蓄電池のセット導入に加え、事業所の省エネ改修や電力可視化センサーの導入にも補助が及んでいます。
交付金の活用期間は当初、令和5年度開始・令和9年度終了とする予定でしたが、国や事業者との協議を経て、令和6年度開始・令和10年度終了に見直されました。
会津エネルギーアライアンスによるAIを活用した地域間の需給調整
会津若松市は、電力の需給データをAIで分析し、蓄電池の充放電によってエリア間の需給調整を行う体制として、「会津エネルギーアライアンス」を構築しています。
再エネ発電事業者やPPA事業者、省エネ・エネルギーマネジメント事業者が連携し、地域産の再生可能エネルギーを脱炭素先行地域内外の市民・事業者へ安価に届ける体制づくりが進められています。
デジタル地域通貨「会津コイン」による再エネ利用の行動変容
会津若松市では、デジタル田園都市国家構想推進交付金を活用して実装されたデジタル地域通貨「会津コイン」を、再エネ利用のインセンティブとして市民や事業者に付与しています。
会津コインの活用は、電力を利用した市民・事業者への還元にとどまらず、地域のデータ基盤と連携した環境価値の可視化にもつながっています。
会津若松市の脱炭素まちづくりまとめ

会津若松市は、ゼロカーボンシティ会津若松宣言の目標に加え、脱炭素先行地域として太陽光発電や蓄電池の導入支援を進めています。
会津エネルギーアライアンスによるAI活用の需給調整や、会津コインを通じた行動変容の後押しも、市の特色ある取り組みです。
ゼロカーボンシティ会津若松推進ネットワークを通じて市民や事業者と連携しながら、2050年に向けた脱炭素の実現を目指す姿勢が示されています。


